2007/05/23

[木鐸]   じゃあなんであなたは死んでないんだい?

at 16:07JST
 
長めの短刀だけ刺しておくと、

岩本隆史の日記帳 - 子供を育てる資格がないと思ったら心中するなあ
http://d.hatena.ne.jp/IwamotoTakashi/20070515/p2
私の遺伝子を受け継ぐ子供だって、生きづらいに決まっている。だからです。


子どもはあなたの遺伝子を受け継いでなんかいない。
それは科学的知識のない人の大いなる勘違い。

ぼくも人並み以上の生きづらさを抱えている自信があるが、子どもを自己同一視して勝手な妄想を繰り広げたりしない。

人間は有性生殖だから、生まれる子供の遺伝子は親とは異なる。親の遺伝子を足がかりにして現れたまったく新しい別個の個体に過ぎない。そうして生物は多様性を確保してきたわけでね。顔が似ているからといって自分だと思いこむのは、そりゃああなた、ロマンチシズムという名の妄想だよ。あるいは尊大なる自我の拡張だ。結局は子どもを「自分のモノ」扱いしているに過ぎない。赤ん坊を「ゆりかご」に預ける人間に後ろ指は指せまい?

そもそも「同じ遺伝子」の要素をもつことで
「生きづらいだろうから殺します」
というなら、ミトコンドリアイブからなる雄大な歴史の中、人類は全員あなたと同じ遺伝要素を大なり小なり含有しているわけだから、あらゆる殺人は正当化されるわけだが。そこまで見たら、けっきょく原文は「科学に裏打ちされてるつもりになっておかしなこと言ってるにすぎない」ということになる。中途半端な知識はヒトを誤らせる。

なにより、
「なぜ自分の親は自分を連れて心中しなかったのか」
ということにいちど思いをはせたほうがいい。

自分の親が子どもを抱いてさめざめと泣いたことがなかったのか。家庭を維持することで悩み絶望した瞬間がなかったのか。あったとしたら「心中すべきだった」というのがこの人の持論になるわけだが。

「なかった」と言えるのは、単に自分が他人の心を伺う想像力に欠けているだけだな。親もまた、弱い個人に過ぎない。あなたが見ていないところでは経済的なり心理的なりなんなりの理由で苦しんでいるわけで、それを「そんなことない」と無謬化して否定するのは、
「親のありがたみ」
ってやつを実は軽んじているのさ。

だが、そんな苦しみの瞬間を自分の親が通過してきたにもかかわらず、本人は実際にはおめおめと生き恥をさらしているわけで。それは矛盾だな。
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