まあ、「ホントの格差」がなんなのかなんて、マジメに考えてないんだけど。CGMコミュニティの当事者になったからといって「勝ち組」になれるわけじゃないって。
らばQ : 情報格差──これから始まろうとしている本当の格差社会
http://labaq.com/archives/50776529.htmlすごいよなー。ここまで「マスコミ陰謀論」「Web 2.0礼賛」に染まってる文章は久しぶりに読んだ。そのテの宗教に走った人も「最近はちょっとは醒めてきたんじゃないか」と思ってたんだけど、勘違いだったか。2ちゃんねる=総会屋説を書き立てて失笑を喰らいつつ、こんどは反マスコミに立って延命に走ったなんとかいう人を見るときと同じような気持ちがわく。
なんだかんだいって、この文章でいちばんバカげている点は、
マスメディアだけでは踊らされるだけ
というあまりにも手あかの付きすぎた陳腐な一文に尽きる。CGMだのなんだのを盲目的にもてはやしている連中は、
「みんなと一緒になって踊っている」
に過ぎない。主体が見えにくいとはいえ、やっぱり踊らされているという点では旧来の情報消費形態となんの違いもない。
だいたい
ユーザーが作るコンテンツ、という意味でCGM…
…少し頭のいい人は、これを聞くと「そんなの衆愚になるに決まってる」と言います。実際そういう面もありますが、実際に動いてるサービスを見てみると、これが案外いい結果を出してくれるのです。思うよりも「みんな」という存在は悪くない事がわかります。
って…。
「なんたらをなんたらするn個の方法」
とか
「うんたらで成功するm個のテクニック」
とかいう記事ばっかり並ぶはてぶのホットエントリが「いい結果」だなんて、誰が評価してるんだ? それこそ
「みんなが言っているから“いい結果”に違いない」
って思ってるだけでしょ。そういうのを「踊らされている(一緒になって踊っている)」と言わずになんと言おう。それを「衆愚」などという安易なことばでまとめたくはないが、あれが価値のある情報か? 少なくともぼくにとっては価値はまったくない(たまにこういう反吐が出そうな文章に触れる機会をくれるくらい)。人が増えれば増えるほどアンテナとしての性能は落ちていってるのを感じる。規模の大きくなりすぎたCGMは毒にも薬にもならない上澄みをすくって見せるだけだ。ただ、上澄みは飲み過ぎると腹を壊す。ああ、毒か。
10分程度の動画の場合、ユーチューブのサイト上の動画すべてを調べるのにかかる時間は十数秒程度。サーバーを増強すればさらに高速になるという…
…これに対し、高負荷ウェブサービスである2ちゃんねるを長年運営しているひろゆき氏は、自身のブログでこう書いています…
…この程度のことは、ひろゆき氏でなくても情報技術にちょっと詳しい人間ならすぐ気付きます。しかし、日経新聞の記者は気付かず記事にしてしまったわけです
これも、ひろゆきの言うことを丸ごと鵜呑みにしているおめでたい人間がいまだにいるということを今はじめて知った…。まさに踊らされている事例を見た気分だ。天漢日乗の事例に至ってはなにをかいはんや。「女性は身体性を取り戻せ」とか言うアホ保守勢力や「自宅出産」推進派の影響でかかりつけ医師をもたない妊婦が増えるのは憂うべき事態だが、マナー問題に矮小化しようとするこのサイトの議論に乗ってしまうのは、実数ベースで「給食費未納問題」を論じなかったサンケイと同じテツを踏んでしまっている。でも「みんな」はそんなこと言わないから、筆者はそんなこと自分では検証しないだろう。
こんな時代に必要なのは、ベテランの50代60代のリーダーではありません。
30代、40代の、パソコンでインターネットが使えて、高速道路に乗って圧倒的な速度で学習できるリーダーでなくては、時代には追い付けない。
「こんな時代には若いニューリーダーの力が…」
とかいうことばは聞き飽きた。このあいだそのお説にのって就任したボンボン首相がグダグダの辞任劇を演じたばかりだろ。本当の意味で経験を踏んでいれば、「新しい技術」に適応している*だけ*では組織の舵取りもイノベーションも推進していけないことを過去の事例から知っているものだ。どうやらこの文章の書き手は、そのあたりの経験がすっぽり抜け落ちているらしい。活版印刷、小説、新聞やテレビといった新しい技術が登場したときも、同じように浮き足立った人間がたくさんいたんだよ。でも、今はどう?
あれだよなー。
ナロードニキの末裔とか安保闘争期の過激派って、こういう人たちだったんだろうなー。